野ウサギの姿1 〜諏訪に行こう!〜

 「さだまさしの『八ヶ岳に立つ野ウサギ』聴いたことある?」かすみさんにこう尋ねられ、いいえ、と答えた時のこと。早速その曲をかけようとしながら「これはね、ライオンに対する返歌なんですよ」とかすみさんは楽しそうに言った。

 舞台は長野県、諏訪市及び茅野市。ロンドンデリーのメロディを挟みつつ、暖かな地域医療を繰り広げている医者が登場する。曲の最後の方になって、あっと思った。
「ライオンにはほど遠いけれど <略> 八ヶ岳に立つ野ウサギと 自分で名乗ることにしたんだ」

 私達は早速、野ウサギのモデルとなられた先生(小松道俊先生および鎌田實先生)にインタビューの依頼を綴ったお手紙を出した。その一週間後、鎌田先生からお返事をいただいた。それも大量の資料とともに!「ライオン企画見ましたよ。おもしろいですね。協力します」この言葉に、どれほど勇気づけられたことだろう。数週後には、小松先生とも連絡がとれた。「野ウサギの写真、プレゼントしますからね」受話器から聞こえる先生の優しい声が、いまだに心に響いている。

 柴田先生による30年前のケニアでの医療と、鎌田先生・小松先生による現在の日本の地域医療。時代と場所とが異なる医療を斬ってみると、そこには何が見えてくるのだろうか。「大切なことは目に見えないんだよ」と星の王子様は言っていたが、それならば心で受けとめることにしよう。

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