6月4日、私達は柴田先生にお会いするため、日南病院へ向かった。
柴田先生は1971年から2年余り、長崎大学熱帯医学研究所よりケニアのナクールに医療専門家として派遣された。1974年、宮崎医大第二外科に来られ、その後助教授を務められた。現在は県立日南病院長に就任されている。
丁度30年前の話。ナクールにいた柴田先生の所に、長崎のローカル局が取材にきた。柴田先生はその製作副部長と意気投合し、帰国後さだまさしのお父様を紹介されたという。そして、柴田先生は当時アマチュア活動をしていたさだまさしと知り合うことになる。
「あの人はね、本当に頭がいいんですよ」柴田先生はさだまさしについて語る。
「僕の雑談を憶えていて、感性で歌を作るんですから。あ、話すとおもしろいですよ、冗談ばっかりで」
その後の宴会の席で「この前の特講でね、わかりました?僕が言いたかったこと」と尋ねられた。柴田先生は5月25日に特別講義をなされたのだ。肺癌の話だったなと思い巡らせていると「あれは『一言』なんですよ」との答え。そう、柴田先生はスライドの中に『その一言』※という一遍の詩を織りまぜていたのだった。その詩は院長室にも飾ってある。「たった一言で、人を喜ばせることができる。一方、たったの一言でね、殺しあいに発展することもある。言葉というのは本当に強力な武器でもあるんですよ。そのことを皆さんにわかってほしかったんだよなあ」
第26回すずかけ祭医学展で、ライオン企画は柴田先生を交えた茶話会を主催する。
ライオンとの出会いがあなたの心にふんわりと残ることを祈って。
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